あんずの花里物語

思わず微笑んでしまうリリカルな画風で大人気の蟹江杏の世界観を、作品とエッセイでお届けします。

蟹江杏アトリエ日記vol.13 初夢と抱負

アート 蟹江杏

君にあげる
 

最近、眠りが特に浅い気がします。
お酒を飲めば寝つきはよいですが、
かえって夜中に息苦しくて目覚めてしまいます。

枕が合わないのでは?
アロマを使ってみよう、など、いろいろと工夫をしてみてはいるものの、
夢ばかり見て起きてしまうのです。
そして、私は何を隠そう子どもの頃から明晰夢体質でして・・・
眠りについての悩みと長年付き合っています。

「明晰夢」って言葉、ネット検索すると、
ちょっとスピリチュアルな感じの意味でも使われているようですが、
私には具体的な神様もいませんし、
霊感とか、そういう類のことから無縁であることを
あらかじめお知らせしておきましょう。

この「明晰夢」、簡単に説明するならば、
自分の夢であることを自覚しながら見ている夢であり、
夢の状況を自分でコントロールしたり、変化させられるのです。

これだけ聞くと、やってみたい! 見てみたい! と練習する人がいるそうですが、
いやいや、やめた方がよいと私は言いたい。
そんな夢ばかり見ていると、本当に疲れるんです。
とにかく、眠っていながらずーっと起きているような感覚で、
目覚めた時にはすでに疲れているわけですから。

で、そんな私が見る初夢も、
もちろん明晰夢・・・。
夢がはじまると、「ああ、はじまった・・・ゆっくり眠りたいのに、参ったなあ」と
眠っていながら、眠りたいよ、眠らせてくれ、と、
なんだか奇妙きてれつな説明がつかない領域に入ります。

今年の初夢は、子どもの頃に飼っていた愛犬アップルと、
アトリエ近くの喫茶店マリアに
ナポリタンを食べに行くというなんとも、単純な内容。

『夢で逢えたら』って歌があった気がしますが、
この世にはすでにいないアップルは
何故か最近私の夢の中に頻繁に出てきます。
で、明晰夢だから、アップル犬に「これは夢だから人間の言葉話してよ」とお願いして、
しゃべってもらうのです。

ビーグルらしい垂れた大きな耳を揺らしながら
アップル犬は流暢に話します。
初夢の中での会話のテーマは、
ドイツのアンゲラ・メルケル前首相について。

メルケルの退任についてなどを、
あーだこーだと一人対一匹で話し合いましたが、
最終的には、メルケルのポートレートの撮り方と、
私のポートレートの撮り方をアップル犬が比較して、
とにかく私の宣材写真への取り組み方がよくないという。

「カメラマンは一流なのに杏ちゃんの撮られる姿勢が不真面目だ。
それに比べてメルケルの写真は素晴らしい」と言うので、
「それはそうか、はっきり言ってくれてありがとう。もう私、起きるわ」
とアップル犬と別れて目が覚めました。

夢の中で犬と議論した私の脳みそはすっかり疲れてしまいました。
けれどもたしかに、夢の後半でアップル犬に指摘を受けた宣材写真については
今までに見たこともないような一番良い自分の姿を、
たかはしじゅんいち氏(私の宣材写真を撮ってくれている写真家さん)に撮ってもらうぞ!
と心に決めたわけです。

新年早々クレイジーな話で恐縮ですが、
アップル犬と私の会話は私の頭の中で繰り広げられていますから、
私、杏と杏が話しているのに等しく、
初夢の自分との対話で今年の宣材写真は一番良い写真を撮ると決めたとなると、
これは、自らが望むまぎれもない新年の抱負。

そうか、私の2022年の目標は
「自分のベストな宣材写真を撮ってもらう」なんだな。

えー、もっと、大きな目標ないの?
それでよいのか?
2022年は、海外の美術館ですごい評価を受けるとか、
絵本がベストセラーになるとか、結婚するとか・・・!?

いや、ここはアップル犬に扮した
もう一人の「私」と一緒に決めたのだから従いましょう。
なんとも、写真家様頼みの他力本願な目標だけど、
決まってしまいましたので、たかはしさん、
どうか、今年は私を増し増しで美しく撮ってください〜。
撮影前日はお酒を我慢して、早寝して美肌に努めます・・・多分。

これはもしやトカイナカジャーナルの私の写真も
今年リニューアルかもしれませんね〜。
(誰も楽しみにしていないでしょうけれど・・・)

ということで、皆様、
本年もトカイナカジャーナル「あんずの花里物語」を
どうかよろしくお願い致します。

君にあげる

タイトル: 「君にあげる」
サイズ: 110×140mm
シート価格(税込): 16,500円
額装価格(税込): 23,000円

※別途、送料がかかります。
販売数量: 5枚限定
お届けの目安:約3カ月

蟹江杏コレクション

執筆者プロフィール

蟹江 杏(かにえ・あんず)

画家。東京生まれ、埼玉県飯能市の「自由の森学園」を卒業。「NPO法人3.11こども文庫」理事長。ロンドンにて版画を学ぶ。美術館や全国の有名百貨店など、国内外で多数の展覧会を開催。新宿区・練馬区・日野市をはじめ各地の都市型アートイベントにおいて、こどもアートプログラムのプロデュースを手掛ける。東日本大震災以降は、「NPO法人3.11こども文庫」理事長として、被災地の子ども達に絵本や画材を届けたり、福島県相馬市に絵本専門の文庫「にじ文庫」を設立するなどの活動を行う。また、2020年から「SDGs JAPAN」と連携し、アートやアーティストがどのようにSDGsに貢献できるかを、様々な分野のアーティストとともに模索、牽引していく。

https://www.atelieranz.jp

蟹江 杏

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