第10回 実録。地方で自宅隔離になりました。

家族のひとりが新型コロナに感染しました。

「陽性ですね」

2022年7月29日、家族のひとりが新型コロナに感染しました。その日のうちに保健所から電話があって、「8月13日まで家族全員、自宅での隔離になります」とのこと。

「第7波到来か!」と感染者が増加傾向にあったものの、他人ごとのように思っていた僕にとって、まさに青天の霹靂。ひとまず家族全員、体調が安定していたので、僕の心配は「さあ、これからの2週間どうしたらいいんだろう」、そのことでした。

まずは関係各所に、「参加できません。申しわけありません」の連絡(じつはこのとき、「埼玉トカイナカ」主宰の神山典士さんが真庭市に来てくださったのですが、それも泣く泣く参加できず)。皆さん、優しく対応してくださいました。

そしていよいよ、永遠にも思えるような2週間の隔離生活がスタート。

僕が何より心配していたのが(もちろん体調が一番ですが)、「ストレス」でした。家から出られないことで、ムスメたちのフラストレーションが溜まり、家族全体が鬱々としてしまう。それが2週間も続く。もう考えただけで、気が滅入ります。

早くも鬱々とした気持ちではじまった隔離生活初日……。
「あら?」
ふと、窓の外に目をやると、すぐ裏に人と接することのない庭が。しかも絶賛、ミニトマトの収穫時期を迎えている畑が。

参照:第9回 家庭菜園をするうえで、絶対に欠かせないこととは。

そして、夏らしい蝉の鳴く声と、庭を流れる涼しげな川の音。吸い込まれるように、庭に出て、畑の世話、草抜きをせっせとはじめてみました。途中、ムスメたちも出てきて、ミニトマトの収穫をしています。

朝からしっかり汗をかいたので、シャワーを浴びます。太陽の光を浴びたので、ちょっとだけ日焼けをしたらしく、心地よい痛みが走ります。日ごろ運動不足の僕にとって、この上ない運動の機会でした。

シャワーを浴びてサッパリしたら、仕事部屋へ。文章を書いたり、電話やオンラインで打ち合わせをしたり。ときどきムスメたちが入ってきますが、それがちょうど良い一服になります。そして3時間ぐらい仕事をしたら、お昼です。お昼も家族全員で食べることができます。

このとき、うすうす僕は気づいていました。
「隔離生活と田舎の相性って、じつは抜群なのではなかろうか」

隔離期間中、裏庭から一番見ていた景色

自宅にいながら、内にこもらず、外とつながる

もうひとつ、隔離生活で心配していたのが「食料品と日用品」です。買い出しに出るわけにもいかず、配食サービスを利用。ムスメたちが食べたいものを好き勝手に主張し出して……、みたいな心配をしていました。ただ、その心配は初日から杞憂に終わります。

奥さん方の親族をはじめ、友だちや会社の人たちが、食べものを持ってきてくれるのです。わざわざつくってくださった料理や牡蠣、スイカ、メロン、トウモロコシ、キュウリ、ピーマン、ミニトマト、ジャージーヨーグルト(真庭市蒜山はジャージー牛の飼育頭数が日本一)などなど。初日にして、冷蔵庫に入りきらなくなりました。

いつもより運動量が増して、仕事も進む。食べものもいいものばかり。……なんだ、この暮らしぶりは。ムスメたちがフラストレーションでかんしゃくを起こすこともありません。当初心配していたストレスもまったくありません。

地方での自宅隔離は、「内にこもる」のではなく、むしろ「外とつながる」んだと思わずにはいられません。

裏を通る川(用水路)のせせらぎが涼しげでした

これまであまりピンと来ていませんでしたが、新型コロナの流行に伴って移住希望者が増えたのが、いまとなってはわかるような気がします。たとえば、「食材」ひとつ取っても、手に入れる方法が、都会の「買う」一択ではなく、「買う」「いただく」「つくる」と選択肢があります。

自宅隔離を経験して、「地方の魅力」を改めて知ることができました。

「このペースで、2週間。最高の生活だな」

そう思っていたのですが、それで終わらないのが人生の面白いところ。隔離生活がはじまって3日後に、もうひとり家庭内感染者が出て、そうこうしているうちにもうひとり。そしてついには僕自身も新型コロナに感染してしまいました。

高熱が出て、頭痛に悩まされ、庭に出るどころでも、仕事をするどころでもありません。やっと頭痛が治まってきた(しかし今度は不眠症の)8月7日にこのコラムを書いています。

隔離生活において、地方はとてもストレスのない魅力的なところです。でもそれはそれとして、自分自身の健康が何よりも大切、ということを学びました。感染しないのが一番ですね(笑)。

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