移住して体重が増える、たったひとつの理由
体重計にのって、ため息をつく。大阪から岡山県の北部、真庭市に移住して丸6年。移住前は166cmの54kgという細身だったのに、年々体重が増え続け、いまは10kgオーバーの65kg。お腹まわりが出て、お肉もしっかりとつまめてしまう……。しばしの絶望。
まさか、田舎暮らしで太るとは思っていませんでした。むしろ日にこんがりと焼けて、健康的。筋骨隆々になるイメージだったのに。どうしてこんなお腹になってしまったのだろう。そう思いながら、お腹のお肉をぷにぷにとつまむ。
この「移住と体重」の関係。じつは、僕だけではありません。移住者さんと話していても、けっこう「移住あるある」で語られます。移住と体重には密接な関係がある。僕たち移住者は本当に体重の増加に気をつけなければならないのです。
でも、どうして田舎暮らしをしていて、太ってしまうのか。
理由はもう疑う余地がありません。「車」です。田舎暮らしでは、とにかく車に乗ります。乗るというよりは、「頼る」に近い。
たとえば、僕の家から近くのスーパーまで歩いて、約5分。田舎のなかでは、かなり立地の良いほうです。それでも、つい車に乗ってしまいます。家に自転車だってあるのに、道も単純なのに、つい車に乗ってしまう。
スーパーだけではありません。コンビニも病院も銀行も図書館も、すべて自転車圏内にあるはずなのに、何の疑問も持たずにごく自然に、車に乗り込んでしまう。
それはなぜかって、たったひと言。「ラクだから」に尽きます。
大阪に住んでいた頃、車はラクな乗り物ではありませんでした。わざわざ家からちょっと離れた駐車場へ行き、狭い駐車場から車を出して、歩行者や行き交う自転車に注意しながら運転する。運転しても、たびたび赤信号につかまって停止しなければならない。
そのすぐとなりを原付バイクがびゅんびゅん抜かしていく。目的地に着いても、また狭い駐車場にうまく停めなければならない。ストレスが多すぎます。
しかし、田舎ではまったくそんなことがありません。
とにかくどこに行っても駐車場が広い。実際、僕の家の駐車場も3台ぐらい停められるスペースがあり、白線なんて引いていません。好き勝手に停めることができます。車庫入れに神経を使うことがありません。
真庭市の一部では、土地が広すぎて、そもそも車庫証明をとる必要のないところもあります。
また、歩行者なんていません。自転車も原付バイクも走っていません。信号機もほとんどなく、当然渋滞もありません。車の運転をさえぎるものが何もないのです。まさに車との相性が良すぎる町なのです。
よく通る道です。歩行者や自転車を見かけたことはほとんどありません
体重を増やさないために。絶対に手放してはいけない「草刈り」と「農業」
だから、僕たちは何のハードルを感じることもなく、ラクだから車に乗ります。ちょっとの距離でも車に乗るから、歩かない。その結果、運動不足で太ってしまう。とても自然な流れです。
もちろん、なかには「田舎」というイメージどおり、こんがりと日に焼けて、健康的。歳を重ねても若々しく、筋骨隆々の方もいます。
なぜ、そんな両極端に分かれてしまうのか。
じつは筋骨隆々の方々はもれなく、下記の2つのうち、最低1つの条件はクリアしています。
・草刈りをしている。
・農業(もしくは林業などの一次産業)をしている。
田舎は、草との戦いです。田んぼや畑、道ばたなど、ありとあらゆる場所に生え、そのたびに僕たちは「刈払機(かりばらいき)」で、ガシガシ草を刈っていきます。なるべく涼しい時間帯を狙いますが、3時間もすれば、もうへとへとです。
また、農業も「スマート農業」が進められているとは言え、まだまだ身体を使うことが多いように思います。
その結果、「車社会」であっても、草刈りか農業をしている方は運動不足に陥ることなく、それどころか日々、筋骨隆々に向かっている印象です。
反対に言えば、草刈りと農業を日常的にしない移住者は、生活のなかで運動をする機会がありません。都会にあるような、ちょっとした運動の機会がないのです。
たとえば、駐輪場から最寄りの駅まで歩いたり、電車の乗り換え、自転車の利用など、そういうことさえありません。
ジムもそこまで身近な存在ではなく、夜のランニングも暗すぎて危険です。
もしこれから移住を考えている方がいたら、草刈りか農業は積極的におこなうことをオススメします。そうしなければ、僕みたいに移住して体重10kg増になってしまうかもしれません。