完全無農薬栽培の希少なブドウで造るワイン
埼玉県比企郡小川町にある「武蔵ワイナリー」を訪れました。日本では希少な「完全自社栽培の無農薬ブドウ」でワインを造って販売しています。
代表の福島有造さんは、群馬県伊勢崎市出身。北海道の大学を卒業し、銀行マンとして勤務後、不動産会社の経営などをしていました。株や為替の投資でも収益を上げていましたが、無味乾燥な日々ではなく、大変だけど面白みのある、自分が心から打ち込めることをしたいと思い、一念発起します。
小川町に移り2010年より有機農業研修と並行して、日本酒の酒蔵「武蔵鶴酒造」で蔵人として酒造りを始め、15年からは同蔵の杜氏を務めています。今はワイン醸造責任者兼社長と日本酒造りの杜氏、二つの顔を持つ貴重な存在の醸造家です。
武蔵ワイナリー代表の福島有造さん。1968年群馬県生まれ。2011年からブドウ栽培を始めている
武蔵ワイナリーは農園と貯蔵庫と売店が同じ敷地内にあり、ワイナリーの見学や、テラスでワインのテイスティングや喫茶もできます。ワインや日本酒の販売をはじめ、地域で作られた有機栽培の食品や、天然酵母のパン、菓子などが並び、駐車場には食べ物の屋台が出店して、地元客がひっきりなしに訪れます。
雨よけがかかったブドウ畑
福島さんが仕込む日本酒「饗之光」
福島さんは独学で自然派ワインを研究・醸造。なだらかに傾斜する畝にはすべて雨よけを備え付け、ワイン貯蔵庫は酒蔵のように酵母菌が繁殖しやすい土壁にしたりと、独自の工夫が施されています。資金調達や在庫管理など経営面に職歴を生かせるのも強み。新たなチャレンジとしてリンゴから醸造するシードルを手掛け始めたとのことです。
無農薬でブドウを育て、ワインに仕上げる大変さについて聞くと、ご本人いわく「うまいことできちゃった」とか。この言葉の裏にはもちろん多くの苦労があったはず。研究や努力を重ね、常に良い方向に修正した結果、今があるのだろうと思いながらお話を伺いました。
ブドウの木は枝を切らずに伸ばすことで、根が枝の広がりと同じだけ地中に張り、しっかり養分を蓄えることができるといい、水も肥料も与えてない、まさに自然栽培とのことでした。自然が相手だし、苦労も半端ではないと思うものの、出来る人は上手に問題を解決しながら成すのだなと、福島さんのお話に魅了されました。
人気のヤマブドウ交配種「小公子」100%で造られる赤ワイン「小川小公子」は、飲んだ瞬間、すっと口に入るナチュラルな味わいで、程よい酸味があり、和・洋・中どんな料理にも合い、悪酔いしない味です。
普通の赤ワインを料理に使うとタンニンや独特の風味がじゃましたり、苦みが出てしまうことが多いのですが、小川小公子は煮込みやソースに使うと、素材のおいしさを生かしてくれるワインだと思いました。
ラベルもかわいい小川小公子
今回は、牛肉とかぼちゃとエリンギのソテーに合わせて、ワインをソースとして添えました。小川小公子を飲みながら、煮詰めた小公子のおいしさもぜひ味わっていただければと思います。
【武蔵ワイナリー】
https://musashiwinery.com/
牛肉とかぼちゃとエリンギのソテー、小川小公子ソース
■材料(1皿分)
- 牛ロース肉 120g
- かぼちゃ 100g
- エリンギ 1本
- 小川小公子(ヤマブドウ交配種・小公子の赤ワイン) 100ml
- バター 15g
- 水溶き片栗粉 少々
- 塩、胡椒、飾りのグリーンリーフ 各適量
■作り方
- ① 牛ロース肉は3cm幅に切り、塩、胡椒をまぶす。かぼちゃは5mm厚さの一口大に切る。エリンギは長さを半分に切り、六つ割にする。
- ② フライパンに半量のバターを熱し、かぼちゃ、エリンギを並べて塩、胡椒をふり、両面焼き、火が通った順に取り出す。
- ③ 残りのバターを加えて、牛肉を並べる。焼き色がつけば返して、ミディアムに火を通して取り出す。
- ④ ③のフライパンに赤ワインを入れて、3分の1の量になるまで煮詰めて塩、胡椒をふり、水溶き片栗粉で軽く濃度をつける。
- ⑤ 器に牛肉と野菜を盛り、④のソースを流し、グリーンリーフを飾る。