トカイナカとっておきインタビュー<br>「ラストサマーウォーズ」監督 宮岡太郎さん

生まれ育った入間市の魅力を映画にぎゅっと凝縮できた喜び

文=神山典士

映画「ラストサマーウォーズ」監督、宮岡太郎氏。1988年、埼玉県生まれ。入間市立西武小学校、同中学校卒業。早稲田大学在学中に撮った「エコーズ」が東京学生映画祭準グランプリ、観客賞受賞。主な作品に「恐怖人形」「成れの果て」など

 小学生の頃から映画が大好きでした。小6の夏、友達を集めて親のハンディカムを使って裏山で初めて自主映画を撮りました。ちょうどこの映画の主人公たちのように。以来、今に至るまで20余年間、映画の監督として魅力的な作品を観客に届けたいという思いは常に私の中にあり続けています。

 今回のシナリオは高校(早稲田大学高等学院)時代の同級生、奥山雄太が書いてくれました。だからぼくの少年時代からの思いも、上手にすくい上げてくれたと思います。

 プロの監督になってから、入間市で映画を撮ってみたい、そのことを通して故郷、入間市を盛り上げたいという思いは常にありました。今回、前作が終わったちょうどいいタイミングでお話があって、入間市を舞台に映画が撮れるということでとても喜んでいます。

 でもロケで久しぶりに入間市を回ったら、小学校の学級数は半分になっているし、人口もどんどん減っている。子どもたちにとっても、夢が語れる町なのか?そういう時代なのか、と考えてしまいました。

 それにしても、ロケ地としての入間市は、魅力的なコンテンツにあふれています。広大な茶畑はすごいなと思ったし、ドローンを持ってきて、きれいなショットが撮れました。彩の森公園は広々していてヌケがいいし、アンティークな西洋館も子どもたちの秘密基地にはちょうどよかった。飯能のあさひ山展望公園の展望台も素晴らしい。フィルムコミッション(映画のロケ現場の誘致)があってもいいくらいの魅力的なエリアだなと思います。

 今回は低予算映画だったので、ぼくもいろいろなスポンサーを回って、入間市の皆さんに出資してもらいました。そういう意味でも入間市の皆さんにはとてもお世話になっています。大学卒業以来12年間、外で暮らしていましたが、今回は入間市の実家に腰を下ろしながらの撮影でした。

 ちょうど撮影中に長男が生まれて、今6カ月になります。撮影を始めた当初は「まだ見ぬ息子に対して撮る」という気持ちもありました。その分も、思い出深い作品ですね。

 こだわったのはキャスティングです。デビット伊東さんが(入間市立)豊岡小出身だということは約10年前、テレビ番組のAD時代に知っていて、いつか自分の映画に出てほしいと思っていました。櫻井淳子さんも昔、ドラマの仕事でご一緒して、鶴ヶ島出身だと覚えていました。

 そういうご縁のある方を集めて撮りたい。そして地元を盛り上げたい。もちろんそういう気持ちもありました。

 入間市のみなさんは、ラストのシーンでエキストラで出演していただきましたが、芝居ものりのりで素晴らしい演技だし、とても協力的でした。

 そんなあれこれ、生まれ育った入間市の魅力を映画にぎゅっとつづり込められる喜びを感じながら、映画で故郷を盛り上げて、その輪を全国へと広げていきたいと願っています。

埼玉県入間市発の青春ジュブナイル映画!!「ラストサマーウォーズ」

出演:阿久津慶人、飯尾夢奏、羽鳥心彩、松浦理仁、小山春朋、上田帆乃佳、井上小百合、長妻怜央(7ORDER)/デビット伊東、櫻井淳子
監督・企画・編集:宮岡太郎
脚本:奥山雄太
主題歌:はたゆりこ「ラストサマーフィルム」

「ラストサマーウォーズ」
https://lastsummerwars.com/

6月24日よりユナイテッド・シネマ入間にて先行公開。7月1日より新宿武蔵野館、シネ・リーブル池袋ほか全国順次公開

@「ラストサマーウォーズ」製作委員会

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