長年の取材の中で出会った人やお店、名品など隠れた埼玉の魅力をお伝えします!
入間市生まれの一人の女性が埼玉の農業の応援団に! モデルから農業ユーチューバーに転身した理由を伺いました。
文=尾内あゆみ
キラキラした世界に憧れた幼少期
入間市で生まれ育った水川瞳さん(25歳)は、両親が共働きで、幼い頃から一人で過ごすことがほとんどでした。テレビを観たり、雑誌を読んだりして過ごす中で、キラキラしたモデルの世界に憧れるようになった水川さん。製菓学校を卒業後、20歳の時には「ミス・ユニバース・ジャパン埼玉大会」のファイナリストを務めました。
その後、憧れだったモデル業を始めましたが、様々な撮影をこなす中で次第に強くなっていった「何かが足りない」感。好きな仕事をしているけれど、常に何か心にひっかかるものを感じていました。
モデルとして撮影に臨む水川瞳さん 写真提供:水川 瞳
幸せだった食べる時間
実は、水川さんが中学1年生の時に、両親は離婚されていました。そこで気がついたのは、家族みんながそろって食卓を囲み、ごはんを食べる時間が何より大切で幸せだったということでした。ところが、モデル業では体型を気にして食べることは二の次。体調がすぐれない時期が何年も続いていました。
自分の中で足りないと感じていた「何か」はこれなのか? 自分が幸せだった「食べること」を作り出している人は誰だろう、と興味を持ったのが「農業」でした。
日本の食を支える農業
農業の魅力を伝えたい。そう思った水川さんは、ミスコン時代に縁があった埼玉県庁に飛び込みで企画書を持ち込みます。そして、紹介されたのが越生町の梅農家「山口農園」でした。越生は古くより「梅の里」として知られ、中でも山口農園は観光農園として多くの方に親しまれています。
水川さんは実際に農家の仕事を手伝いながら、農業の魅力をYouTubeで配信し始めました。農家のみなさんとじかに触れ合うことで感じた農作業の大変さや作り手の思いを、自分の言葉で伝えたいと考えたのです。農家のみなさんの思いを大切にするため、撮影から編集まですべて自身で行い、今では県内の様々なエリアの農家を取材しています。
山口農園で梅の収穫を手伝う水川さん 写真提供:水川 瞳
新たな挑戦
「食べること」から農業・農家の大切さを知り、もっと農家を身近に感じてほしいと、水川さんは2020年の春に新たな挑戦をはじめました。それが「return to soil with FARMWEDDING」。スタイリストやヘアメイク、カメラマンと4人でチームを組み、農園でフォトウェディングを行う企画です。
9月には、水川さんの思いに賛同した神奈川県在住のカップルが、山口農園でのファームウェディングに参加しました。初めてのファームウェディングは大成功。参加した新婦から、関わった一人ひとりに感激のメールが届いたそうです。農家の思いを感じ、なるべく地元や天然素材にこだわってプロデュースしたファームウェディングは、これから多くの方に喜ばれていくことでしょう。
モデル業から培った「伝えること」、農家と出会ってさらに思いを強くした「食の大切さ」、これらを武器に水川さんはYouTubeという舞台で輝いていきます。
笑顔があふれる山口農園でのファームウェディング
写真提供:return to soil with FARMWEDDING
【水川瞳さんのYouTube】
:埼玉農業かってに応援プロジェクト
「return to soil with FARMWEDDING」
問い合わせ :return.to.soil.wd@gmail.com
尾内あゆみ(おない・あゆみ)
1985年生まれ、所沢市出身、飯能市在住。高校卒業後、入間ケーブルテレビグループに入社し、14年にわたって入間市で取材・番組制作に携わる。2017年より毛呂山町にあるゆずの里ケーブルテレビへ。制作編成課課長として番組を制作。長年の取材で得た知識をもとに埼玉の魅力を掘り下げる“埼玉コンシェルジュ”