第6回 ときがわ町ってどんなまち?

くらし 風間崇志

ときがわSTYLE

東京から90分という距離にありながら、自然豊かな埼玉県比企郡ときがわ町には自ら仕事を創りたいと考える若者たちが集まってくる。そんな町の「人」と「仕事」を巡る物語―—。

文=風間崇志

ガレージ

 

「人」「自然」「歴史」「食」の4つのテーマから、ときがわ町の魅力を紹介。

◇ ◇  ◇ ◇

野あそび夫婦(青木江梨子さん・達也さん)

 “野あそび夫婦”の名で知られる青木江梨子さん・達也さんは、2019年5月にときがわ町に移住し、日本初だというキャンプ民泊施設「NONIWA」を開業した。キャンプ初心者を対象に、キャンプの楽しさを知ってもらうキャンプ民泊のほか、オリジナルアウトドアグッズの製造販売や最近では地域資源を活かした特産品づくりにも力を入れている。町外から訪れるファンも多く、自他ともに認めるときがわ大好き夫婦である。

青木江梨子さんと達也さん。キャンプ民泊施設「NONIWA」の入口にて

野あそび夫婦
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キャンプ民泊NONIWA
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福島だいすけさん

 4年前に移住した半農半ライターの福島だいすけさんは、トカイナカの立地を活かして、田舎のリソースを都会の人に届けて来訪を促すことをナリワイとしている。現在は山奥での自然卵養鶏や自宅古民家のロケ用場所貸し、町の「職人」を紹介する『ときがわ職人図鑑』の発行に取り組むほか、里山グルメ情報と食材がセットになった定期刊行物も企画中。

半農半ライターの福島だいすけさん

福島だいすけ(養鶏員、こっこや)
Note

ときがわ編集舎
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晴耕雨読(橋本拓さん・容子さん)

 神奈川県から移住した橋本拓さん・容子さん。ときがわ町の自然環境と風景にほれ込み、「晴耕雨読」の屋号で有機農業を営み、野菜や加工品の販売のほか、収穫体験や「畑ヨガ」など、場としての「畑」を使った体験コンテンツも提供している。「晴耕雨読」については次回ご紹介予定です。

晴耕雨読の畑の前に立つ橋本さん一家

晴耕雨読
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ときがわ町の「おもしろい人」を取り上げた書籍

 ときがわ町にはほかにもたくさんの「おもしろい人」たちが活動しています。そんな「おもしろい人」に出会うための書籍をご紹介します。

  1. 『地域でしごと まちづくり試論』(風間崇志、関根雅泰)
    「地域でしごとをつくる人」に焦点をあて、「なぜときがわ町にはおもしろい人が集まるのか?」や「まちづくりの成功とは?」を考える本。野あそび夫婦のお二人や福島だいすけさんをはじめ、ときがわ町で「しごとをつくる人」へのインタビューを多数掲載。
  2. 『ときがわ職人図鑑』(ときがわ編集舎)
     福島だいすけさんが、ときがわ町の「職人」を一人ひとり取材してつくり上げた図鑑。「職人」とは、深いこだわりを持った「なりわい・生き方」をしている“職人魂”を持った人のこと。2020年の創刊号では32人、2021年発行の第2号では20人の職人が掲載されている。

◇ ◇ 自然 ◇ ◇

 ときがわ町の象徴ともいえるのが、面積の約7割を占める山林。弓立山の山頂から平野部を一望できるロケーションは格別だ。町内に4カ所ある温泉は、いつまでも浸かっていたくなるほど泉質がやわらかく、心身をほっこり解きほぐしてくれる。また「清流」という表現がぴったりな川の流れは、訪れる人の心を洗い流してくれる。夏は子どもの恰好の遊び場だ。

標高約427mの弓立山山頂からの眺望

都幾川の上流にある三波渓谷は夏も涼しげ

◇ ◇ 歴史 ◇ ◇

 673(天武天皇2)年に創建され、鎌倉時代には源頼朝の庇護を受けて隆盛を誇った慈光寺。天台宗における関東一円の拠点として栄え、「慈光寺経(法華経一品経・阿弥陀経・般若心経)」は国宝にも指定されている。また、慈光寺を建造した「番匠」と呼ばれる木工技術者たちの建具の技が今に受け継がれていて、ときがわ町は「建具の町」としても知られている。

阪東三十三観音霊場の第九番札所でもある都幾山慈光寺

◇ ◇  ◇ ◇

 ときがわの食といえば、うどんと豆腐だ。これらはときがわの「ソウルフード」といっていいだろう。身近な食べ物だけにその美味しさは一口食べただけでよくわかる。いずれも「よくぞ日本に生まれけり!」と叫びたくなるほどの逸品だ。

喉ごしと歯ごたえが絶妙の「都幾の丘 髙栁屋」のうどん

全国豆腐品評会金賞を受賞している「とうふ工房わたなべ」の豆腐

◇ ◇ ◇

「住むなら埼玉」移住サポートセンターの移住相談員・佐野めぐみさんに聞いた。

目標は、移住ではなく「定住」促進

 地方暮らしを考える人が増えているが、まず何から始めればいいのかが分からない。そこで頼りになるのが、埼玉県の移住に関する情報提供と相談を受ける「住むなら埼玉」移住サポートセンターのような相談窓口だ。

「ときがわ町のように、地元を具体的に紹介できる人がいると心強い」。同センターの移住相談員、佐野めぐみさんはそう話す。「まずはその町を訪れてみて」と言われても、相談者は何をすればいいか分からず途方に暮れてしまう。だが、「この人に話を聞いてみて」と教えてもらえれば具体的に行動できるのが大きいという。

 移住者を受け入れる側にとっても民間の仲介者がいるのはメリットが大きい。相談者がその地域の生活や環境に合うかどうかは、地域に住む人にじっくりと話を聞くなど、肌感覚で感じなければ分からない部分があるのが現実だ。仲介者が相談者と地域の人を結べば、事前にミスマッチを防ぐことができる。

「住むなら埼玉」移住サポートセンター(左が佐野さん)

「移住しても『定住』してもらえなければ意味がありません。相談に来られた方に移住後の生活をイメージしていただいて、自分で最適な判断をしていただくための材料や選択肢を提供するのが私たちの役割です」

 センターに寄せられる埼玉県への移住相談は年間500件ほど。コロナ禍で移住相談の形も様変わりし、もどかしい思いもあるが、相談自体はむしろ本気度の高いものが増えたという。「埼玉県は東京に近く交通利便性も高いうえに、実は自然環境が豊かな地域も多い」と佐野さん。さまざまなライフスタイルに応えられる埼玉県の魅力を、市町村と連携しながらどんどん発信していく。

【「住むなら埼玉」移住サポートセンター】
https://www.furusatokaiki.net/consultation/saitama/
住所:東京都千代田区有楽町2-10-1 東京交通会館8F(認定NPO法人 ふるさと回帰支援センター内)
: 090-1559-4781
: saitama@furusatokaiki.net
*電話がつながらないときは、ふるさと回帰支援センター (03-6273-4401)へ

執筆者プロフィール

風間崇志(かざま・たかし)
1981年生まれ、埼玉県草加市出身。妻、一姫二太郎の4人家族。2006年、まちづくりを志し、越谷市役所に入庁。18年に比企起業塾の第2期を受講し、20年に個人事業主として起業。屋号は「まなびしごとLAB」。埼玉県比企郡や坂戸市を中心に、行政や中小企業のお助けマンとして、企業支援や地域活性化、地域教育、関係人口づくり、ローカルメディアづくりなどに取り組む。共著に『地域でしごと まちづくり試論 ときがわカンパニー物語』(まつやま書房)がある。
https://www.manabi-shigotolab.com/

風間崇志


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