蟹江杏アトリエ日記vol.18 空からの贈り物

ぼくたち仲間
 

「知性とは人を助けるためにある」と
父が生前言っておりました。

さて、
一緒にNPO活動をしているSさんとは、
かれこれ15年のつきあいになります。
最初は私の展覧会にやってきて絵を買ってくれたのがきっかけで知り合いました。
(埼玉県にある母校自由の森学園繋がり)

2011年東日本大震災翌日の3月12日にも、
銀座で行われていた私の個展にきてくれていました。
その日の
お客様はSさんたった一人。
画廊でゆっくり話す機会となりました。
そこで私が福島県相馬市の子ども達に絵本を送りたいと、彼にふと話したことが、
今のNPO法人3.11こども文庫の活動をはじめるきっかけとなりました。
現在、私が理事長、Sさんは事務局長です。
歳の差、23歳の友人であり同志です。

Sさんは一見じゃわかりにくいけど、
圧倒的に良い人です。
心配になるほどです。
だからなのか、Sさんの周りには、
困りごとがある人が沢山集まってきます。
最近は人間だけにとどまらず、犬や猫をはじめとする動物達もやってきて、
Sさんはいつもぶつぶつと怒りながらもみんなを助けています。

彼は猫と犬には優しい口調で話しかけますが、普段はとてもぶっきらぼう。
ハゲ頭が光るからか子ども達からエンジェルと呼ばれるおじさんです。
しかも年々口下手さに磨きがかかっているから、
スタッフは本音を読み取りながら仕事をしています。
けれど、見かけによらずとても知的で文化的な人。
まさに、豊かな知性で人々の幸せのために尽くしています。
そして、何かあると感激して人知れずすぐ泣きます。

そんなSさんの困りごとのある人への吸引力が最大限に発揮されて、
私達NPOはこの度、日本財団さんから助成をうけて、
千葉県東金市に子どもと地域の方々の為の施設「おひさま」を建設することになったのです。
DVやネグレクトなどで追い詰められた子ども達が避難できる居場所や、
放課後クラブ、地域の方々が集うアートギャラリーとカフェ。畑に養蜂。
目指すは、子ども×アート×農業。
有力な強力者も現れ、いざ、建設がはじまりました。

が、物事はそうは簡単にはいきません。
この社会状況のさなか信じられないくらいの木材の高騰により、
まさかの、いや、やっぱり、資金難。
とはいえ工事はすでに始まっていて、骨組みも上がっています。

結果、
お金が足んないわけですよ・・・これが。
いろいろ四苦八苦しながらなんとか建物は建ちそうだと、
先日、プロジェクトの関係者が、
現地に集まっての打ち合わせがありました。
中身の家具や備品はどーするんだ??
などなど、いろいろ問題が解決されないまま走り出してはおりますが、
この壁を乗り越えたいと、みんな知恵を出しあいました。

なかなか、解決策が見当たらないなぁ〜
名ばかり理事長とはいえ、わたし的には頭が痛い。
でも、そもそも、うちのNPOは立ち上げからいつも金欠でいつも金策してるから、
今回もやるしかなーい!
よしっ、まずは、お空に向かってお願いしてみるか。
と、なんの気なしに心の中でつぶやきました。
「子ども達の為です。素敵な施設ができますように、どうかお願いいたします」

ここからが嘘みたいな本当のお話。
エンジェルSさんの吸引力か、神様か。
九十九里の海につながる青い空から
降ってきたんです!!
何が? って・・・。

何故か空から小魚が3匹。
ポトッポトポトって・・・。

みんなで顔を見合わせて、空を二度見。
鳥も飛んでないし・・・風も吹いていない・・・。
しつこいけれど、これ、ホントのはなし。
地面には、銀色に輝く3匹の小さな魚。
これは、海と空を司る神様からのプレゼントでしょうか。

でも、神様。
せっかくのお心遣い、大変申し上げにくいのですが、
私達は小魚ではなく、お金が欲しいのです。
どうか、もう一度、お応えくださ〜い。
と、念じてみましたが、
待てど暮らせど、
とうとうお札は降ってきませんでした。

「この小魚、猫が食べますかね?」と
Sさんに聞くと、ニコリともせず
「こんなもん、猫もたべねぇ〜や!」
だそうです。

やっぱり、神頼みではなく
エンジェルSを筆頭に、
夢に向かって地道にコツコツ頑張ります!

ぼくたち仲間

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