第2回 コエドビールで作るパンペルデュ ― 日本屈指の地ビール。その芳醇な風味がバゲットと絡み合う

美味しい埼玉食べ創造

料理研究家・川上文代が埼玉の食材を使った簡単レシピをご紹介します!

パンペルデュ

世界も認める川越のクラフトビール

 ヨーロッパのビールというと芳醇な味わい。20代の頃、オランダで飲んだビールが忘れられません。茶色い瓶にスイングキャップという、手で何度も開け閉めできるキャップが付いていて、持ち歩きながら飲めるのです!

 ふくよかな風味が美味しく、お酒が弱く苦いビールが苦手な私でも気軽に味わうことが出来ます。現地のムッシュをまねて、スイングキャップのビールを片手に観光した、思い出のビール。キリッと冷えたのをく~~っと一気に飲み干す日本のようなタイプではなく、ふくよかな風味を味わうのがヨーロッパのビールなのです。

 そんな思い出の味を髣髴とさせるテイストが、埼玉県川越市に本社を構える協同商事 コエドブルワリーの「COEDO(コエド)」。ドイツの醸造技術を取り入れて磨きをかけ、世界的に有名なコンテストである「ヨーロピアン・ビア・スター2010」でのゴールドメダルをはじめ、数々の賞を受賞。国内では他の追随を許さない地ビールです。

 基本のビールは、瑠璃(Ruri)、毬花(Marihana)、伽羅(Kyara)、漆黒(Shikkoku)、白(Shiro)、紅赤(Beniaka)の6種類。これ以外にも、シーズンのビールやコラボビールなどもあり、常に新しい風を取り入れています。

漆黒
左から漆黒(Shikkoku)、白(Shiro)、毬花(Marihana)、紅赤(Beniaka)、伽羅(Kyara)、瑠璃(Ruri)
ベーコン
季節限定の夏果(Natsuhate-2020)


 今回は、シーズンのビールである夏果(Natsuhate-2020)を入れて7種類を飲み比べてみました!
1本ずつ飲むことはあったものの、一気に飲み比べてみると、個性が際立って微妙な味わいの違いが分かり、とても楽しいです。丸みのある茶色い瓶の形も、安定感があり愛らしい。協同商事 コエドブルワリー代表取締役兼CEO・朝霧重治氏に、お話を伺いました。

 一番印象的だったのが、「ここまで洗練されたビールが造れたのはなぜか」という質問に対する、「ドイツのビールのマイスターのお陰です。良い師匠に出会えたことで、その後は職人とともに研究し続けました」という言葉。良い師に出会えるということは、人の人生においてもかけがえのないことだと、共感しました。

 また、基礎となるビールが美味しくなくては、アレンジしてもダメ。まずは、素材の良さや醸造管理などを徹底した、コエドビールの神髄である「瑠璃」を味わってほしいとのことでした。

「今後、どのような展開をしていくかはわかりませんが、地ビールを造るにあたって、ビールの主原料である大麦から埼玉で作りたい」と朝霧氏。また、東松山市の国分牧場や秩父郡小鹿野町の吉田牧場で、エコフィード(食品残さ等を利用した飼料)に麦芽かすなどを使ってもらうなどリサイクルにも取り組んでいます。朝霧氏のお話を伺ってから改めてビールをいただくと、また違った味わいとなりました。

  • 瑠璃(Ruri)は、クリアな黄金色で軽快な飲み口。
  • 毬花(Marihana)は、シトラス系の爽やかなアロマホップの華やかさ。アルコール度数4.5%で飲みやすい。
  • 伽羅(Kyara)は、赤味がかった黄褐色で、柑橘系のスパイシーなアロマホップ。低温発酵ラガー酵母で飲みごたえがあるインディア・ペール・ラガー。
  • 漆黒(Shikkoku)は、2種のブラックモルトと6種の麦芽が程よい調和のとれたブラック・ラガー。
  • 白(Shiro)は、白濁した無ろ過ビールで、小麦麦芽と酵母の醸し出す甘い香りとコクが特徴。
  • 紅赤(Beniaka)は、赤味がかった琥珀色で、副原料の薩摩芋のほのかな風味が薩摩芋の産地である川越ならでは。無ろ過・生のオリジナル・エールでアルコール度数7%の発泡酒。
  • 夏果(Natsuhate-2020)は、梨をベースにした爽やかな酸味を持つ、繊細でフルーティーな味わい。

  第1回では「漆黒」を使って、埼玉漆黒ベーコンうどんをご紹介しましたが、今回は飲み比べたコエドビールからパンペルデュに合う2種を選びました。ビールの酵母の香りがバゲットに合い、お互いの旨味を出し合うような逸品が出来ました!

コエドビールで作るパンペルデュ

パンペルデュ

材料(2人分)

  • バゲット 3㎝幅を4切れ
  • コエドビール白 50ml
  • 卵 1個
  • 生クリーム 20ml
  • ソース(コエドビール伽羅100ml、グラニュー糖30g)
  • バター 適量
  • おつまみ用ミックスナッツ 適量

作り方

  1. ① コエドビール白、卵、生クリームを溶く。
  2. ② バットにバゲットを並べ、①をまんべんなく注ぐ。
  3. ③ 途中でバゲットの上下を返し、30分漬けて①をバゲットにたっぷり吸わせる。
  4. ④ フライパンにバターを熱し、③のバゲットを並べる。弱火の中火で片面3分ずつこんがり焼く。
  5. ⑤ 鍋に1/3量のコエドビール伽羅とグラニュー糖を入れて煮詰め、キャラメリゼにする。
  6. ⑥ ⑤のソースがほどよく香ばしくなったところで、残りの伽羅を入れて2~3分煮てアルコール分を飛ばし、濃度をつける。
  7. ⑦ 器に焼き上がったバゲットを盛り、ソースを流して、粗切りしたミックスナッツを散らす。
執筆者プロフィール

川上文代(かわかみ・ふみよ)
料理研究家。辻調理師専門学校で12年間勤務後、デリス・ド・キュイエール川上文代料理教室主宰。新刊『フライパンで! 時短和食』(主婦の友社)、『新装版 和食の教科書』『新版 イチバン親切な料理の教科書』(ともに新星出版社)をはじめ、著書多数。
https://www.delice-dc.com
川上文代
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